コラム「おもちゃの貸し借り」

初めて遊びに来た、2歳の男の子A君。荷物用シートの上に置いてある、ダンプカーのおもちゃが気になっている様子。とても魅力的で触りたくなっちゃうのだけど、ママが「それはお友達のおもちゃだよー、勝手に触らないよー」と言うのでグッと我慢。「誰のだか分かったら、そのお友達に触ってもいいか聞いてみようか」と、ママ。

その様子を見ていた遊びのリーダーが、「あそこにあるおもちゃ、B君のかな?A君が気になっているみたい」と、ダンプカーの持ち主に声掛け。B君のものだと分かったA君は、すぐさまB君の元へ行き「かーしーてー!」B君「だめー!」A君「かーしーてー!」B君「だめー!」ちょっと考えたA君「かしてくださーい!」B君「だめー!」A君「かしてくださーーーい!」B君「だめーーー!」

めげないA君に、ママは「ダメって言われたらしょうがないね、交渉だね」A君、考える。そう言えばA君は、救急車のおもちゃを持って来ていた。A君「これかしたげる」と、救急車をB君に見せる。するとB君も納得、救急車を貸してくれるのならしょうがない。「いいよ」

同じ2歳同士、初対面でのこのやり取り。すごいなあと思ったのが、それぞれのママの対応でした。

まずA君のママ。「お友達のおもちゃだから勝手に触っちゃダメ」で終わらせず、持ち主に聞いてみよう、と提案。持ち主に断られた後も「ダメだって、諦めよう」とか「ほら、しつこいよ」ではなく「交渉だね」とサラッと言った事。それによってどうしたらおもちゃを貸して貰えるのか、A君なりに考えて交渉が成立した事。

そしてB君のママ。B君が何度も「だめー!」と言っている間、何も言わずに見守っていた事。多分、ほとんどの大人は「ほら、貸してあげなさいよ」なんて口出ししちゃうと思うのです。大事なおもちゃを貸したくない、と言うB君の気持ちが尊重されていて良いな、と思ったのでした。

こんな風なやり取りを積み重ねて、お友達との関わり方を学んでいく子ども達。そんな機会を出来るだけ奪わない様に、上手に声掛けしていきたいな、と思える場面でした。

by おーとー